- 2006年4月18日 23:57
- 歌舞伎
面白かった。午後1時開演で3時間半の長丁場だったが、あっという間の舞台だった。
先月見た南番よりも、更にスパスパッと話は進んで行く。三角屋敷の場面を盛り込んでいるので小仏小平、直助権兵衛の存在が際立ち、それが話をわかり易くしている。キャストと演出がまた全く違う。扇雀のうまさを堪能。勘三郎の直助権兵衛もいい。勘三郎はお岩さんもだが、これは素晴らしい。二ヶ月通しでやっているので磨き込まれてきているせいか、色香のあるいい女だった。お袖の七之助は薄幸そうな感じがよく出ている。笹野高史は面白かったが、彼を含め伊藤家の人々は演出過剰な気がした。橋之助の伊右衛門は今回の方が良かったが、それが回数を重ねた故なのか演出の違いなのか不明。でも彼の癖のなさが活きていたように思う。隠亡堀の場面は人海戦術で流れを作るという変わったやり方だったが、奇妙だが非常に有効。波の方々にはお疲れさまだが。三角屋敷の後、短くまとめた幕切れは良かった。
今回、下座音楽は全て伝統的な歌舞伎のものを使わないというチャレンジがされていたようで、胡弓や電子音が多用されていたが、すごく合っている部分と過剰で邪魔かなという部分の落差が激しかったように思う。まあ好みもあるだろうけども。幕が開くまでの音楽は椎名林檎/東京事変で統一。終幕後の開場内BGMにも同様。これらは芝居の中身によく似合っていた。
途中、渋谷一帯で停電があったそうで、一時舞台の灯りが全て消え、客席が非常灯で明るく照らされるというハプニングがあった。場面としては伊藤家から帰った伊右衛門がお岩に無心して足蹴にするところ。かなり唐突に灯りが切り替わったが、客のほとんどは「何か変な気もするが、これも演出の内かな?」と思い舞台に集中しており、まったく中断することもなく無事に復帰した。実際、カーテンコールで勘三郎が言及したので初めて停電を知って、「演出だと思った」という声があちこちから上がったくらいだ。タイミングを計って徐々に灯りを戻したのだろうが、見事な技だ。コクーン歌舞伎は、素晴らしいスタッフに支えられているのだと、改めて知った出来事だった。
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