- 2006年7月 7日 22:39
- 歌舞伎
大阪での坂田藤十郎襲名披露で『道成寺』やら『夏祭浪花鑑』が見られるというので、友人にチケットを手配してもらい、早めの夏休みを1日だけ週末にくっつけて、はるばる道頓堀まで遠征した。ちょっと最近忙しさでうつうつしており、のんびりと羽を伸ばしたいため現地在住の友人や親戚宅には内緒で。一人で過ごす時間て貴重だよなー。
初めての松竹座。道頓堀の入り口には開場待ちの人垣が出来ている。歩行者天国なので南座前ほどの混雑ではない。入り口前に立て看板と客引きが立っての「お食事受付」があり、珍しさでじろじろ見てしまう。松竹座ビルの地下に入ってるレストランは、一般営業とは別に幕間の食事を受け付けているらしい。なかなかリーズナブルなものもあり、明日試すかと思いながら入場。ロビー両側には筋書き売りと役者さん方それぞれの応援会窓口(?)があり、正面にドーンとベルナール・ビュッフェの描いた『暫』が立っている。すんごい迫力。その脇には現・藤十郎が鴈治郎だった頃の『京鹿子娘道成寺』を演じた姿絵が静かに佇んでいる。足下に胡蝶蘭の鉢がずらり。なかなかに壮観だった。客席は3階からで、エスカレーターとエレベーターで登るが、エレベーターは高齢者の方等の一部の人向けだけに場内係員が案内していて好印象。2階の売店、喫茶どころを兼ねたロビーで弁当を購入し、3等席なので更に5階まで登った。
さて最初の演目は『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』だ。これは現・中村勘三郎丈の襲名披露で観ているが、途中つまらなくて気が遠くなりそうだった覚えがある。今回は大蔵卿に片岡仁左衛門、筋を運ぶ重要な吉岡鬼治郎に片岡愛之助、妻お京に片岡孝太郎。仁左衛門の作り阿呆、品格がありかわいらしく、惚れ惚れするようなおばかさんっぷり。本来の正気の大蔵卿はすっきりくっきりと筋の通った格好良さ。脇で團蔵、家橘がよく締めている。話のメリハリもあり、面白く観られた。愛之助も孝太郎も好演で良かったが、仁左衛門という役者の大きさを強く感じた芝居だった。
『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』は所化で藤十郎の孫・壱太郎が大奮闘。まだ声は細いがよく頑張っていた。親子三代揃い踏みで、藤十郎もやっと安心てとこだろうか。その藤十郎の白拍子花子は可憐の一言。どうしてこの人はこんなに可憐になれちゃうんだろう。さすがにお歳を寄ってきたので鞠つきは辛そうだったが、大筋においては、すごい体力、素晴らしい気力、技倆。途中に襲名披露口上が一言入った以外は通常通りに通しでの道成寺。美しかった。でも鐘に上がっての締めの型はちょっと迫力なかったかな。
『魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)』はこれまでと打って変わって江戸の臭いがぷんぷんと撒き散らされる世話物だ。尾上菊五郎の宗五郎、中村時蔵の妻お浜、孝太郎のおなぎ、磯部の殿様は翫雀で、好配役であった。以前にも何度か観ている演目だが、菊五郎の宗五郎は爽やかでいいやね。翫雀も貫禄あって、話をビシッと締めてくれた感じ。見終わって気持ちのいい仕上がりだった。
芝居の間で神戸から来ているTさんに声をかけていただき、なんと藤十郎の船乗りこみの時に友人の方が撮ったという生写真(プリントアウトでも「生写真」と言っていいのかな?)をいただいた。思いがけないお土産で嬉しい。更に美味しい日本酒一口とみかんを御馳走になり、慌ただしく御挨拶。感想を交わす暇もない。是非また何処かで一緒に観劇する機会があればと思う。
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