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七月大歌舞伎

  • Posted by: ひろむ
  • 2006年7月17日 23:40

文月の歌舞伎座は玉三郎が仕切って泉鏡花3部作『夜叉ケ池』『海神別荘』『天守物語』、と異色作の『山吹』。今日は夜の部で『山吹』と『天守物語』だ。

『山吹(やまぶき)』は昭和52年、55年に上演されているが、今回は26年ぶりに舞台にかけられることになる。玉三郎は前回S55年に天本英世、仲谷昇とともにサンシャイン劇場で公演しているらしい。その時は”坂東玉三郎公演「鏡花・夢二の幻想」”というタイトルで何本かかかったうちの一作だったようだ。今回は玉三郎は監修で、石川耕士演出。歌六、段治郎、笑三郎が現実世界から狂気の世界、そして魔界の入り口までを感じさせる芝居を魅せてくれた。暗いし気味悪いしストーカーだったり思い込みだったり自虐だったりとの暗いジメジメした情念が目一杯溢れているが、気づいたら引き込まれていて、最後まで目が離せなかった。最後「ここは魔界か」という島津(段治郎)の独白は、正に観客席で見ている我々の心を代弁しているものだろう。まったく知らない戯曲で、期待もしていなかったのに大当たりだった。

『天守物語(てんしゅものがたり)』は前回平成11年に歌舞伎座で、玉三郎と新之助、菊之助の顔合わせで観ている。今回も玉三郎の相手は新之助改め海老蔵で、亀姫は春猿だ。舞台装置はかなりシンプルで、舞台奥全体を巨大スクリーンとして設え(要するにホリゾント)、そこに天守の外の空が映し出される。時々刻々と変わりゆく空は美しかったが、富姫や亀姫が雲に乗って移動するのを現す火の玉(?)のようなものまで映すのはやり過ぎで興ざめだったような。冒頭、秋草釣りを舞台正面向きでやったのが、怪しの世界へのスムースな入り口となっていた。海老蔵の図書之助は意志も意気地もあって、前回のお人形さんのような好男子ってだけじゃなくなっていて凛々しかった。富姫が欲しくなるのもわかるような男ぶり。春猿の亀姫は姫の貫禄と華やぎと酷薄さがあって良かった。玉三郎は、まあ、別格なのだけど。最後の近江之丞が出てくる辺りは、前回よりもすんなりと流れていて締めていたので良かった。泉鏡花と坂東玉三郎の組み合わせは、なかなか超えられるものじゃないところまで来た気がする。このところ七月は毎年面白いものが観られて良いな。

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