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新橋演舞場・花形歌舞伎 夜の部

  • Posted by: ひろむ
  • 2006年11月23日 22:59
  • 歌舞伎

『時今也桔梗旗揚(ときはいまききょうのはたあげ)』は信長と光秀に題材を取った鶴屋南北の作品。まず本能寺馬盥の場では、その前の場面までで信長ならぬ春永の不興を被って謹慎中の光秀が、他の家来衆も居並ぶ中で馬を洗う水を汲む盥を杯として与えられ、更には自分の領地を召し上げられて蘭丸に譲られ、欲しかった名刀日吉丸まで自分が推挙して家来になれた友人に下賜されてしまい、挙げ句には貧乏浪人時代に妻が売った髪の毛を持ち出されてなじられてしまう。やりたい放題の屈辱を受け、怒りのオーラを発しながら退場する光秀の松緑、恐い。まあ出て来た時も沈み込んだ真っ暗な雰囲気を纏ってたんで恐かったけど、更に恐くなって退場。海老蔵は傲岸不遜な春永が無茶苦茶よく似合う。続く愛宕山連歌の場では春永からの使いに来た同僚達の前でやおら死に装束に着替えたかと思うと「憧れの日吉丸で介錯してもらって死にたい」などと言い出し、お人好しにも「じゃあ斬られる前によく見ておけ」とほいほい刀を差し出した相手を奪った刀で斬り捨てる。そして本能寺襲撃に向けて高笑いしながら出かけて行く姿の凄惨なことといったら…。松緑、見直した。踊りだけじゃないのね。

『船弁慶(ふなべんけい)』は菊之助が静御前と平知盛をやるので期待。しかし、誰がやっても能仕立ての静御前の舞は眠くなりがち。一緒に行った相方も、反対側の隣に座った女性も寝ていた。私としてはこれまで見た中では一番人間臭い舞だった気がする。玉三郎のは美し過ぎて眠かった。知盛はまあまあ。梅枝の義経はちと早過ぎたんじゃないだろうか。船長の亀蔵はまずまず。團蔵の弁慶はあまり修験者には見えなかったが、力技で追っ払った感じには見えたからいいんだろう。

さて問題は『義経千本桜 川連法眼館(よしつねせんぼんざくら かわつらほうげんやかた)』、通称「四の切(しのきり)」。これの狐忠信を市川海老蔵が市川猿之助に指導してもらってやるという。海老蔵の狐忠信ってだけでも柄じゃないと思うのに、猿之助に指導を受けてなんて…観る前から不安でいっぱい。そしてそういう不安は往々にして当たるのだ。所作/振付だけでなく、口跡まで猿之助型を受け継いで演じている。うーん、聞き苦しい。それに海老蔵は身体が大きいから、同じようにやってるつもりでも間延びして見えちゃったりバランス悪かったりして見苦しいとこがちらちら。階段3段飛び越えて床上に上がったのは驚いたけど。天井裏から飛び降りて舞台正面にピターッと座るとことか決まってて良かったかな。段治郎の義経、笑三郎の静御前はそれぞれ風格があって良かった。

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