- 2007年1月13日 23:46
- 歌舞伎
『廓三番叟(くるわさんばそう)』は雀右衛門が出るので心配していたのだが、足だけでなく腕の力も衰えてきている様子が見えて哀しくなった。立ち姿は相変わらず素敵なのだが…。周りの席の観客からも同様の感想が漏れており、御本人の舞台にかける情熱(あるいは執着)と見る側の冷静さがすれ違っている。寂しい限り。魁春は貫禄を見せ、芝雀、孝太郎は普通に良かったが印象は薄い。
『祇園祭礼信仰記 金閣寺(ぎおんさいれいしんこうき きんかくじ)』。玉三郎が雪姫というので楽しみな演目の一つ。敵役の松永大膳が幸四郎、良い側役のはず此下東吉が吉右衛門なおかげで、どちらも同じ顔だから何か変。一瞬しか登場しない慶寿院尼の東蔵が存在感あって良い。玉三郎は…きれいだったけど、うーん、儚かったなあ…。
そして今月最大の眼目は間違いなく『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』。とにかく勘三郎が素晴らしい。弥生は清らかで可憐で、ほんっとーに綺麗なもの。獅子はひたすら凛々しく純粋でやはりこの上なく美しいもの。客席、熱狂。嵐のような喝采だった。今後もう、間違っても勘九郎とは呼ばない。あれは間違いなく勘三郎なのだ。襲名興行が一段落して、勘九郎をすっかり脱ぎ捨てた勘三郎なのだ。ただただ感激。胡蝶の鶴松、宗生は可愛らしい。宗生は浅草公会堂から2度目の胡蝶で、今回はかなりしっかり「踊って」いて嬉しい驚き。顔が福助そっくりだったのもビックリした。鶴松は振りは覚えたのねって感じだったが、舞踊歴はきっとそんなに長くないし、それを思えば良い方なのだろう。ただ宗生がきちんと「踊って」いるものだから比較されてつらいか。
15分休憩があっただけで最後の『処女翫浮名横櫛 切られお富(むすめごのみうきなのよこぐし きられおとみ)』。福助がお富で好演。橋之助が与三郎でいい色男っぷり。蝙蝠の安は弥十郎で人のいい小悪党って感じがいいね。赤間の親分が歌六、女房お滝が高麗蔵がいずれも貫禄あってやはり好演。面白かったんだけど、前の演目が素晴らし過ぎて損をしているようだ。仕方ないか。
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