- 2008年6月29日 01:52
- 歌舞伎
ヨーロッパから凱旋の『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』だ。コクーンで演じるのは3回目、1996年、2003年、そして今年。2004年にはニューヨークにも行ったし、今年の5月にはドイツ、ルーマニアで公演された。その間に演出も美術も芝居そのものもどんどん磨かれての渋谷だ。相変わらずの盛況っぷりで、チケットは争奪戦だったし、当日立ち見もずらりの行列。わくわくするったら。
本日夜の公演は午後5時開演。15分前には席に着いて、パンフを眺めたり客席を眺めたり。今回は後ろから2列目だったので、会場全体が見通せる。10分前くらいから役者さんがちらほらと客席を流し始め、拍手が起こってきた。これはコクーン歌舞伎の楽しみの一つだ。「今日は祭りだよ!」と言い合いながら役者が通る度に、客席のわくわくは高まっていく。やがて舞台の上で南京玉すだれなどの芸が始まり、お祭り気分は否が応でも盛り上がる。そして祭りにつきものの小競り合いや喧嘩が起こり、仲裁が入り、役人が飛んで来て舞台から人々が逃げ出して...芝居の始まりだ。すでにすっかり引き込まれている。
全体として、無駄をそぎ落としたような作りになってたと思う。舞台美術は更にシンプルかつ効果的だったし、芝居全体としてもテンポアップして引き締まっていた。文句なしで面白い。それぞれの役者が皆達者なのは当然としても、驚いたのは七之助の進歩だ。徳兵衛女房お辰という出番は少ないが見せ場のある美味しい役を、見事に演じていた。七之助には見えなかった、と言ってしまうと失礼だろうけど、そのくらい素晴らしくなっていて驚いた。成長する時期なのかな。今後が楽しみ。弥十郎の三婦はますます迫力があったし、橋之助の徳兵衛の憂い顔はますますかっこよかった。お梶役の扇雀は貫禄があり優しく、団七の勘三郎はかっこよくて悲哀に満ちていた。殺しの場面にいたるまでの笹野さんの義平次はますます憎ったらしくなっていて、「悪い人でも...」の台詞が説得力を持っていた。
今回のプログラムには、串田和美氏のエッセイが別冊付録で付いていたが、それを読むといかにしてこの芝居が磨かれていったのかよくわかる。その過程だけで一つのドラマだ。ほんっとうに面白い。ますます目が離せない、串田劇場with勘三郎だ。
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