- 2009年7月13日 00:33
- 舞台・ライヴ
帝国劇場の7−8月は寒い北国の冬を舞台とした『ダンス・オブ・ヴァンパイア』。いつもながら面白い演目をお勧めしてくれる友人ご夫妻がチケットを取ってくれて、なんと最前列!この先2度とないんじゃないだろうか。たっぷりと楽しませていただいた。
バタバタとしていたので予習ゼロで行ってしまい、幕間にプログラムを読むまでこれがポランスキーの『吸血鬼』を下地としていることさえ知らなかった体たらく。見たの20年位前だよ...。ゴシックホラー<コメディなんだけど、コメディをよりコメディらしく盛り上げるための(?)ゴシックホラーの部分での歌とダンスが素晴らしい。もちろんコメディ部分も十分に巧みでかつ面白い。吸血鬼側では伯爵の山口祐一郎がさすがの歌を聴かせてくれるのだけど、彼はシリアス部分を一人でし背負ってる感じになっていて、コメディ部分にはあまり出て来ないのもあって、いまひとつ印象に残らない。そういう役だから仕方ないか。伯爵の息子ヘルベルト役の吉野圭吾の方が、インパクトという意味では得をしているだろう。Tバックで覚えられちゃうのもどうかとは思うけど。ヒロインが知念里奈で、彼女が『夜はヒッパレ!』とかで歌ってた頃から、うまいのにもったいないなーと思って見ていた身としては、ミュージカルの舞台で活き活きとイっちゃった演技を見せる彼女を堪能できて満足。あとは教授の独特な雰囲気をしっかりと楽しみつつ絶品な歌を聴かせる石川禅もすごい。アルフレードは浦井健治で、愚かでへなちょこな若者っぷりがはまっていた。シルビア・グラブがダンバース夫人とは打って変わってのセクシーぶりでびっくり。歌ったり踊ったりはしないけどコミカルな雰囲気はきっちり出してるクコールの駒田一はすごかった。思わず贔屓したくなる巧さ。
それにしても。芝居というのは非日常である。非日常であるがゆえに、「生」と「死」をテーマとすることが多い。吸血鬼ものと言えば、正に生と死を扱う王道ものとも言えるだろうが、それを敢えてコメディで切ったこの作品がミュージカルになっている、というのがまた面白い。死の影に怯える村人達は決して現実を直視しようとしない。真実を求める教授は生も死も同様に興味深く、また自分の生死などは眼中にもない。吸血鬼はもとより生死を超えた存在になっているし、物語の最後で示唆される未来は、ある意味で生死を超えた突き抜け方をしている。その一方で伯爵は、愛した者に「死」しか与えられぬ我が身を呪ってさえいる。夫が死んではいても、その体に杭を打つのは抵抗がある妻、という描き方は愛情云々もあるが「死」という事象を本質的には受け入れがたい人間全般を表しているようだ。...なーんて諸々を考えながら見ているようでいて、何も考えずに楽しんでいる時間の方が圧倒的に長かった、あっと言う間の3時間だった。
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